Face to Face to Face展レビューNo.2  レビュアー:井ノ上 薫

Face to Face to Face展レビューNo.2 「安生成美×足立篤史」
レビュアー:井ノ上 薫

上野駅到着。曇り。

修学旅行生らしきおそろいの制服姿や家族連れが目につきます。
上野動物園近くで賑わいのピークに達し、「いいなー久しぶりに行きたいなー。」などと思いながら進むと、気がついたら東照宮をはじめとする歴史のある建物に囲まれていました。
さらに行き、不忍池、上野公園を横目に通り過ぎます。木々の隙間から馬が見え、思わず「かわいい」。
森鴎外の昔の住居に感動しつつ、分かれ道で坂を登ると…。
着きました。
Café et Galerie Moineau

地図をきちんと見ずにやってきたので、おそらく回り道をしてしまったようです。
若干疲れつつ、だけど移り行く景色を楽しみながらの到着です。

入って右手にある部屋では、安生成美さんの文字作品が並んでいます。
カフェが洋風なだけに、漢字だらけの空間に、違和感。
作品を一つ一つ見ていくと、「耽学好古」の文字の横のキャプションに目が止まりました。
 古いものを好み、学びに没頭する
そんな言葉の意味に自分(安生成美さん)を重ね合わせているそうです。
「こんな思いが込められているんだ!もの静かな方なのかな。」

そんな文字は、文字なのだけど私には跳び跳ねる人のように見えました。
文字なのに文字じゃない。文字の意味以上の何かが伝わってきそうな。
そんな気がしてきます。
もしかしたら、安生さんはこの飛び跳ねる人のように熱い情熱を持った方なのかもしれない、とふと思いました。

狭い階段を降りると、天井の低い秘密基地のような地下室。
空気がひんやりしていて、上のカフェで使った水の流れる音が聞こえます。
まさに本物の秘密基地のようです。

ここには、過去の事件の資料を使って、その事件に縁のある乗り物を形作った作品が並んでいます。
ふと目が止まった先には、飛行機の模型。
こちらを向いているたくさんの人間の写真で覆われており、ところどころ焦げていました。
「この飛行機に乗っていた人々はどんな思いで墜落していく自分と向き合っていたのかな。」
想像するとぞっとします。
シンプルな飛行機の模型に過ぎないけれど、そこには人と歴史の重みがこめられているような圧力を感じました。

階段を登りカフェを出ると、当然そこはさっきまで来た道です。
だけどそのことが何だか不思議でした。
どうしてそう感じたのだろうと考えると、さっきまでいた空間がどこか異質な空間だったからなのかもしれないなぁと思いました。

私がこのカフェまでたどり着き、作品と過ごした物語。
作者が作品を作る過程で生まれた物語。
作品の中に込められた歴史に基づく物語。
他にも、このカフェで働く人々や、私の他にも見にきた人々の一人一人が持つ物語。

いろんな物語が1つの場所で出会うって、考えてみたら不思議です。

「行って良かったな。」
新しく人と出会った後のような嬉しさと満足感を感じながら、正岡子規記念球場の脇を抜けて私は再び上野駅に戻ってきたのでした。

【Face to Face to Face 公式ブログ】 http://blog.livedoor.jp/f3_2011/ 

 

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