Face to Face to Face展レビューNo.7  レビュアー:輿水愛子

Face to Face to Face展レビューNo.7 「山本恵海 × 杣田輝」
レビュアー:輿水愛子

じめじめとした季節。
朝、目が覚めるたびに体がじっとりと汗ばみ、全身からカビが生えそうな、重苦しい空気をまとう。
憂鬱な気分を晴らすために、外に出る。
じめじめした家の中とは一転、5月の東京は初夏の湿り気を帯びながらも、風は涼しげだ。
家を出た足は、そのままカフェ&ギャラリーモアノへと向かった。
 
モアノの扉を開けたとき、目に入ったのはきのこだった。
3歳児くらいの大きさはあろうかという、大きなきのこ。
山本恵海の作品だ。
青やオレンジのしま模様。リボンと金の水玉模様。パッチワークの模様・・・。
色とりどりの巨大なきのこが、モアノに生えていた。というか、立っていた。
ぷりっとしたおしりの部分から、こどもの足のような、愛らしい2本の足が生えている。
先ほどまで、まさにきのこが生えてきそうだったじめじめ気分の私は、急に笑みに包まれて、なぜだかすうっと軽くなっている。
つんっと、きのこの頭をつつきたくなって、ぐっと手を引っ込める。
でも、なんだか心が、立ち並ぶきのこたちとふれあっているような、不思議な感じがする。
 
洞窟のような地下に降りていくと、ひとりの少女の力強い眼差しを感じた。
少し泣きそうなのか、切れ長な目が不機嫌そうに揺れている。釘付けになる。
そのまま洞窟の内部に入ると、そこには、さまざまな“窓”があった。
杣田輝の作品。
実際には日本画作品が複数並んでいるのだが、そのあまりの画風の違いは、およそ1人の人間から生み出されたとは思えない。
窓からのぞく風景は、作家の視ている世界である。
瑞々しい柿の肌にうつる光の粒。友人のふとした表情。宙に浮かぶ妖精のような、幽霊のような女性。
そして、ぱっくりと引き裂かれた、まるで大きな傷跡を抱えたような、歪んだ人影・・・。
これを、あの1人の、切れ長の目の少女が生み出したのか。
繊細で、痛々しくて、そしてどこか力強い。
思わず、窓の一つ一つをじっくりと覗き込んだ。
 
 
モアノを出る頃、外は過ごしやすい夕暮れになっていた。
カビが生えそうだった私の体は、嘘のように、軽やかになっている。
立ち並ぶきのこと切れ長の目の少女に、私は思わず手を振った。

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