Face to Face to Face展レビューNo.9  レビュアー:難波寛彦

Face to Face to Face展レビューNo.9 「大政愛+塩満幸香 × 山本ひかり」
レビュアー:難波寛彦

私が一人でモアノを訪れたのは、ある蒸し暑い日曜日だった。

まず、入ってすぐ左手にある小さな階段を下りて地下へ。

そして、再び階段を上り、庭に面した開放的な一階へ。

作品、空気、光、匂い。

「この感覚を誰かと共有したい」

そう思い、二人の馴染みの友を引き連れ、再びモアノを訪れたのが明くる日。


ひんやりとして、どこか漆喰のような匂いが感じられる地下には山本ひかり氏の作品世界が広がる。

どの作品にも共通しているのは、均等に幅がとられた線を幾重にも巻いたモチーフである。

それは、時にミステリーサークルのように、波紋のように、等高線のように・・・と姿を変える。

特に印象的だったのは、それらを写実的な人の体とともに描き、作中で共存させていたことだ。

一見、無機質に見えるそのモチーフは、有機的な人の体と合わさることで「動き」を見せていた。

そう、まるで生きているかのように。


陽の光が射し込む一階では、大政氏と塩満氏の作品が壁一面に展示されていた。

「ふもふもとした動物」を好むという大政氏は、その言葉通り、毛並が美しくふくよかな動物を多く題材にされている。

パンダ、シロクマ、ペンギンなどがそうだが、その動物たちに施されているのは、なんともカラフルな彩色。

ミスマッチにもとれるそれであったが、不思議と違和感はなかった。

それはおそらく、色が、動物たちの内から湧き上がる感情や体温のように感じられたからではないだろうか。


一方の塩満氏の作品は、木を題材としたものが多く並ぶ。

オカリナのような形に朽ちた木、力強く根を張る大木。

どれも寂寞とした雰囲気を醸し出しているが、その奥に見える僅かな光が目を楽しませてくれる。

さらに、ロンドンのタワーブリッジを題材とした作品もあったのだが、そちらは非常に写実的で、遠目には写真に見えてしまうほど。

メランコリックな世界観であったが、そこには小さな光があった。



最後に・・・

一階のギャラリーに、絵の小熊が立体的な赤い木箱を持ち、その下に「Please open!」と書かれた作品を見つけた。

そっとフタを持ち上げてみると、そこには小さな植物が。

これが何を意図しているのかは分からなかったが、小さな発見に心動かされた。

そしてふと思った。

この企画を通じて、私が作品やギャラリーに出会ったのも、「小さな発見」だったのではないのだろうかと。 

 

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