Face to Face to Face展レビューNo.10  レビュアー:池田寛子

Face to Face to Face展レビューNo.10 「大政愛+塩満幸香 × 山本ひかり」
レビュアー:池田寛子

自然がたくさんあり、動物園や美術館を巡って文化的な気分に浸れる場所、上野公園。
そんな上野公園の近くに、Moineauはある。
大政と塩満の作品は、まさしくこの土地にぴったりで、作品たちが故郷に帰ってきたような感覚がした。

 

動物たちを多彩な絵の具でほんわかと楽しげに描いた大政の作品は、動物たちの生命観を感じさせてくれると同時に、動物園に行った時のような、わくわく感を私たちに与えてくれる。
『chromatic』のように、一面ピンクの背景にのんびりとした表情のぬいぐるみのような白クマがいたかと思えば、
『in the water』のように、水の中にざぶん!と入った瞬間のちょっと写実的で生き生きとした白クマの顔があったり。
私はギャラリーを回りながら動物たちの表情をひとつひとつ見つけて、楽しんだり和んだりしていく。そうしている途中に、私はこの場所で作品を鑑賞している「今」が楽しいという気持ちに気がついた。

一方、塩満の作品は同じく色合いは多彩であるが、静かで、落ち着いた表情を持っている。
こちらの主なモチーフは木だが、風景画というよりかは作家が作り出す独特の世界が描かれている。
木の根元に広がる雑草と澄んだ青色の沼地が描かれた『君にささやく』。ピンク調の木の根が青みがかった画面の下深くまで伸びている世界『人生はおくりもの』。
作品を眺めているうちに、人生の休息へ誘うメッセージが込められた不思議な世界へと吸い込まれ、
色彩の織り成す深い味わいに包まれながら、これからの長い長い自分の人生つまり「未来」へと思いが馳せられていく。

 

地下に展示されている山本の作品は、インスタレーションにデッサンに日本画とその形態はバリエーションに富んでいるが、
それぞれの作品に「句てん」が組みこまれている。
三枚連続の平面作品では、何層にも重ねられた「句てん」は渦巻き模様のようになって三つのカンヴァスの上を流れていく。
行きつく先には、青の色調で描かれた裸婦の後ろ姿がある。
この作品を見ながら、私は生命の連続性を感じていた。
「句てん」の塊たちが、今までを生きた生命の塊に見えてきたからである。
「句てん」たちが吸い込まれていく裸婦と自分を重ねあわせ、「過去」を生きてきた人や動物や植物の命が今の私に繋がっているのかなと漠然と感じた。

モチーフはそれぞれ違うし、作風も違う。
しかしピンク調の作品と青調の作品が三人ともにある、というちょっとした共通点もあった。
偶然のたまものであろうが、それぞれ異なったことを考え、異なった場所で制作した異なったモチーフの作品に、共通点を見いだせるだけで、なぜか楽しかった。
そうして繋がりを見つけながら三人の作品を見ていく中で、過去・現在・未来に思いをはせ、結果として統括的に自分の人生を考えるという貴重な時間を持てたように思う。

【Face to Face to Face 公式ブログ】 http://blog.livedoor.jp/f3_2011/ 

 

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